輸出車両の製造を受注された車両メーカー様において、業務を遂行するにあたり一つ課題がありました。それは、契約内容に車両保守から検査方法についての〈マニュアル作成〉と〈現地作業員の教育〉が含まれていたこと。
通常、国内の車両においては、検査および教育マニュアルの作成は鉄道事業者側が作成するため、当該車両メーカー様には作成ノウハウはありませんでした。滞りなくマニュアル作成業務を進めるため、当社に人材の派遣依頼をいただきました。
ご提案01
当社には、車両メーカー・鉄道事業者・保守会社がそろった、近鉄グループの一員として保有しているノウハウや経験が豊富にあります。また、海外案件であっても、「どのような成果物が必要になるか」を判断できる人材が在籍しています。今回の事例では、特に下記の強みが活かされました。
自社で車両検査業務を受託している他、鉄道事業者からの車両関係出向者が所属しており、車両の検査に関するノウハウを持った人材がいる。
鉄道事業者からの支援を受けやすい。本事例では、必要な人材の追加出向を受けたほか、鉄道事業者が既に持っているマニュアル体系を参考にすることができた。
車両メーカーへの出向を通じて、輸出車両の各種マニュアル作成経験を有する人材がいる。
マニュアルの作成にあたって困難だったことは、現地の車庫にある設備情報が不確かな状況であったこと。現地の設備状況を写真等で確認しながらマニュアルの作成を試みました。不明な設備に関しては、使用する設備が異なるバージョンのマニュアルも作成するなど、あらゆる事態を想定して進めました。
ご提案02
本事例は短期間での対応がマストでした。派遣した段階で、完成時期が約3か月後に迫っておりながら、マニュアルの章立てもこれからという状況でした。 マニュアル作成の期間がタイトであったからこそ、効率的な制作の進め方を検討。例えば、一つひとつのマニュアルを最初からベストの完成度を求めて作成すると、〈完成したマニュアル〉と〈全く手を付けていないマニュアル〉が発生してしまう恐れがあります。それを防止するために、一旦すべてのマニュアルを作成。その上で、繰り返し見直して完成度を上げていくという方法で作業を進めました。
完成にいたるまで膨大な作業量を必要としましたが、近鉄車両でメンテナンスのノウハウ(人員、マニュアル、メンテナンスの考え方)を最大限活用することで解決を図り、結果として短期間での作成を実現しました。
期間が短い中で無事にマニュアルを完成させたことに、車両メーカー様をはじめ、関係各所から評価をいただきました。
今回はコロナ禍で海外渡航が厳しく制限されていた時期のため、<現地作業員の教育>については実施できませんでしたが、海外への人材派遣実績も豊富に有しており鉄道車両に関する多様なニーズにお応えできます。
一方、国内においても昨今の採用減の事情から、鉄道事業の技術を伝承することが難しくなっている傾向があります。これまでOJTなど口頭や実技で行ってきた技術伝承をマニュアル化したい、あるいはメンテナンス作業そのものを外注化したいといったご要望をお持ちではないでしょうか。近鉄グループの一員として保有しているノウハウや経験を存分に活用することで、皆様のお困りごとに対して支援を行っていきたいと考えています。